アロンソのインディ500参戦に思うこと

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4月12日、マクラーレンとホンダからフェルナンド・アロンソが5月28日に決勝レースが行われるインディ500に参戦するという発表が行われました。同時に同日に行われるF1モナコグランプリの欠場も発表。代役はまだ未定とのことですが、とても驚くニュースです・・。

 

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 現役F1ドライバー、それもワールドチャンピオン経験者の電撃的なインディ500参戦が決まった。マクラーレン・ホンダは、5月28日に開催される世界三大レースのひとつ、インディ500にアロンソの参戦を決めたと発表したのだ。この参戦は、ル・マン24時間、F1モナコGPと世界三大レースに強い憧れをもっていたアロンソの強い希望によるものだという。アロンソは実際、2014年にはル・マン24時間を訪れスタートフラッグを担当。将来の参戦への希望も語っている。

最初に見たときは「えっ!」となりましたが、インディ500限定だということでとりあえず一安心。とはいえアロンソのこの決定には間違いなく現状のマクラーレンホンダの低迷が関係していることは誰の目にも明らかなことでしょう・・。 アロンソの代役は未定とのことですが普通にいけばバトンになるのでしょうか。

フェルナンド・アロンソのコメント

「マクラーレン、Honda、それにアンドレッティ・オートスポーツとともにインディ500に出場できることをとてもうれしく思います。
インディ500はル・マン24時間とF1モナコGPに並び、世界中のモータースポーツの中で、もっとも有名なレースです。今年モナコでドライブできないことはもちろん残念ですが、今シーズンF1で欠場するのはモナコだけですし、インディ500が終わったらすぐにチームに合流し、6月のカナダGPに備えます。

これまでインディカーをドライブしたことはなく、スーパースピードウェイでもレースをしたことはありませんが、すぐに 順応できる自信があります。インディカーレースはテレビやインターネットでよく見ていますが、350キロを超えるハイスピードでの接近戦になるので、ドライビングに高い正確性が求められることは間違いありません。
かなり短い期間でマシンに慣れる必要がありますが、スペインGP終了後すぐに渡米し、マクラーレン・ホンダ・アンドレッティのマシンでできるだけ多くの周回を重ねて、マシンを自分のものにしていきたいです。
とても優秀なアンドレッティ・オートスポーツのクルーと一緒に仕事ができることをとてもうれしく思っていますし、彼らが持つ知識と経験から多くのことを吸収しようと思います。

モナコでは2勝をあげていますし、世界三大レースのすべてを制することは私の夢のひとつです。その偉業を 成し遂げたのはグラハム・ヒルただ一人で、とても大変なことはわかっていますが、挑戦しがいのあるチャレンジです。ル・マンにはいつチャレンジできるかわかりませんが、まだ35歳ですし、時間はたっぷりありますから、いつか挑戦したいと思っています」

 

世界三大レース

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アロンソは、インディ500挑戦決定とともに、ル・マン24時間への夢も口にした。

「モナコでは2勝を挙げているし、世界三大レースのすべてを制することは僕の夢のひとつだ。その偉業を成し遂げたのはグラハム・ヒルただ一人で、とても大変なことは分かっている。挑戦しがいのあるチャレンジだ。ル・マンにはいつチャレンジできるか分からないが、まだ35歳だし、時間はたっぷりあるから、いつか挑戦したいと思っているよ」

アロンソはこれまでも世界三大レースへの憧れを口にしていたことは度々ありました。そもそも世界三大レースとはF1世界選手権のモナコグランプリ、インディカーシリーズのインディ500、FIA世界耐久選手権のル・マン24時間レースのことを指し、いずれもモータースポーツの歴史とほぼ等しい長い歴史と高い人気を持ったレースです。これらのレースはそれぞれが大きく異なる特徴を持っているレースで、この3レース全てを制覇したドライバーは長いモータースポーツ史の中でグラハム・ヒルただ一人です。

なぜ世界三大レースとして語られ、アロンソのように憧れをもつドライバーがいるのかというと、前述の通りこの3つのレースがそれぞれが大きく異なった特徴を持っておりそれぞれのレースでドライバーに求められる技術が大きく違ってくるもので、つまるところこの3つのレースを制したということはそれこそ世界最高の技術をもった最速のドライバーだと言っても過言ではないからなのです。

簡単に3つのレースを説明すると、

インディ500

インディ500は観客動員数40万人を誇るアメリカ最大のモータースポーツイベント。インディ500という名前からもわかる通り、決められた距離を走るスプリントレースなのですがその走行距離がなんと500マイル(約806km)と非常に長く、しかもその距離をドライバーは350km/hを超える速度で走り続けるのです。そんなものだからレース中にはクラッシュが度々起きそのたびに行われるリスタート、フルコースコーション中の一斉ピットストップ、F1よりも遥かに頻繁に行われるオーバーテイクなど順位が頻繁に入れ替わります。そのために最終週のチェッカーを跨ぐまで誰が勝つかわからないというエンターテイメント性の高いレースとして人気があります。現在では元F1ドライバーである佐藤琢磨選手がインディカーシリーズに参戦しています。

 

モナコグランプリ

モナコGPはF1好きなら知らない人はいない元祖市街地レースです。1929年に第1回大会が開催され、第二次世界大戦前後の中断、1950年代前半を除いて毎年開催されているレースで1950年のF1世界選手権の発足からF1に組み込まれ唯一同じコースでのみ開催されている伝統のレース。モータースポーツの最高峰としてのF1ですら決勝レース中の速度が平均して150km/hと非常に低速なのが特徴です。なぜかといえば市街地ならではのシケインや非常にタイトなコーナーが連続しており、道幅は非常に狭くエスケープゾーンもほとんど存在しないコースなのです。ゆえに些細なミスも許されず、極限までドライバーの技量が試される究極のテクニカルコースなのです。「モナコでの一勝は、他のレースでの三勝に匹敵する」とも言われており、F1ドライバーたちが揃って「選手権で最も重要なレース」と称するレースとしてF1ファンはもちろんドライバーからも人気のレースです。

 

ル・マン24時間レース

フランスのル・マン近郊で行われる24時間でのサーキット周回数を競う耐久レースです。1923年に初開催された歴史あるレースで全長が13kmを超えるフランスのサルト・サーキットで行われています。長距離の高速サーキット(1988年には最高速が405km/hに達する)でかつコースの多くが普段は一般道のため路面はバンプが険しくエンジンやサスペンションに厳しくマシンが酷使されるのはもちろん、夕方、夜間、日中と24時間耐久ならではの移り変わるコンディションの中でのレースとなるため優秀なマシンのみならずドライバーの高い集中力や環境の変化に対応する力など総合的な能力が高い次元で必要とされています。ルマンでは昨年トヨタが総合優勝目前までいきましたが残り3分でまさかまさかのマシントラブルでマシンがストップしてしまい、ポルシェに逆転を許し初めての「オールジャパン優勝」の夢が露に消えてしまったという熱いドラマがありました。

 

 

そんな世界三大レースに勝利に貪欲なアロンソが憧れを抱くのも当然であるし、現状のマクラーレンホンダでの低迷したチーム事情ではモナコGPを欠席してでもインディ500に挑んでみたいという気持ちは十分理解できます・・。今年のマクラーレンホンダがチャンピオンシップをかけてメルセデスやフェラーリと真っ向勝負を行えていればおそらくこの話は実現しなかったでしょう。それにしてもこの話を持ち掛けたのはザック・ブラウン(マクラーレン側)だと聞いて少し驚きました。アロンソ側が低迷している現状に我慢できず・・来期以降の契約交渉を持ち出して云々ということだと思ったのですが。とはいえ、来期以降もアロンソと契約を結びたいマクラーレン側がアロンソに差し出した1つ目の飴玉なんだろうなということは想像できます。飴玉とはいえ、実際にこういった別カテゴリーでしかもインディ500で優勝を狙える位置にいるということはホンダの強みであるし、マクラーレンホンダの提携ならではの賜物ではないかと思います。こうした事実が来期契約にどう影響を及ぼすかはわかりませんが、僕としてはこういった隠し玉よりも予定されている新型パワーユニットの性能、シャシーのアップデートでアロンソを満足させてがっちりと心を掴んだ上で来期以降の契約を勝ち取ってほしいものですが。

とはいえインディ500での優勝がアロンソの夢の1つなのであるからアロンソにはぜひとも頑張ってもらいたいものです。ただ前述した通り、インディ500は非常にクラッシュの多いレースなのでアロンソほどのドライバーなら大丈夫だとは思いますが無事にレースを終えてほしいなと思います。

 

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佐藤琢磨が日本人初のインディ500制覇を成し遂げました。これはとてつもなく凄いことです。文字通り歴史的快挙です!全米に佐藤琢磨の名が知れ渡りました!モナコGPを見てからのインディ500で体力的につらかったのだけどリアルタイムで見ていて本当に感動しました。佐藤琢磨は間違いなく日本人トップドライバーですね。そのうち記事書きます。